ペペロンチーノのイメージ

長年、荻窪とともに。イタリアン『ペペロンチーノ』

ライター:福田 由加里

 

バブルに入る頃からだろうか。八王子にあった「イタリアントマト」が、東京の23区に進出し、席巻した時代があった。

ナポリタンしか知らなかった多くの東京人は、大きなケーキも食べられるこのおしゃれなカフェレストランに魅了されたものだ。

イタリアンといえば、その元祖といえる溜池「キャンティ」が50年以上前から君臨していたし、「シシリア」、銀座「サバティーニ」、青山「サバティーニ」、青山「アントニオ」と、老舗のレストランテも含めていくつかあったが、ブルジョアの社交場のようでもあり一般的な料理ではなかった。

 

しかしバブル時代に突入すると「ラ・ボエム」、「カプリチョーザ」など、チェーン店が大々的に生まれ、イタ飯ブームが到来。

いつのまにか庶民の味として定着し、“スパゲティ”は“パスタ”と呼ばれるようになっていた。

 

 

荻窪・老舗のイタリアン『ペペロンチーノ』

 

ペペロンチーノ外観

 

この度紹介する、ここ「ペペロンチーノ」は、そんなイタ飯ブームの中、荻窪初といえるイタリアンの一つである。

実はこの名前は今のオーナーシェフの前のオーナーからのものだ。

 

「ペペロンチーノ」は、荻窪に間借りする一人暮らしのサラリーマンや学生にとって、居心地のいいレストランだった。

今は、イタリアで修行したオーナーシェフが腕をふるう、どこか、喫茶店的な雰囲気もあるほのぼのとしたところ。仲のいい仲間や家族で訪れたいと思わせてくれる。

 

ペペロンチーノ入口

▲ とうがらしが書かれている看板と、トリコロール柄のオーニングが目印。

 

南口の仲通りを駅から真っ直ぐ進み、左手一つ目の角にある、クロダ薬局を左に入ると、すぐ右手にある。

小さな白くて可愛らしい玄関のような扉の前に看板が置かれ、メニューを教えてくれている。ドアを開けると細い階段がまっすぐとのびる。

 

ペペロンチーノ階段

 

そのまま2階に上っていくと、空間が広がった。5人席を含めて5−6席あるだろうか。広くはないが、ゆったりとした感じがする。

夫人の気配りがきいているため、すっきりとした印象で、こぎれいなのも特徴である。

 

ペペロンチーノのメニュー

 

本日いただいたのは、ランチパスタセット。5つの味から選べるようになっていた。

ツナとトマト、サーモンクリーム、キャベツとアンチョビ、なすとトマト、そして手長海老のクリームと、どれを食べてもおいしそうで、しばらく迷ってしまう。

結局、なすとトマトを選んだ。

 

ペペロンチーノ前菜

▲ 前菜のサラダとスープ

 

まずはサラダとスープ。スープは卵コンソメで、馴染みのある安心した味。

ドレッシングも手作りで、 玉ねぎ、砂糖、塩、胡椒、米酢、サラダ油、バージンオリーブオイル、マスタードをミキサーにかけて作っているとのこと。(訂正:2014.3.31)

 

写真-5

 ▲ メインのパスタはこのとおり具沢山!

 

次にメインのパスタがやってくる。

湯気が立つ赤いソースが絡んだパスタには、比較的に細かく刻まれたなすが、ところどころに見える。

口に入れるとトマトの酸味とコクにブラックペッパーとバジルがキリリと効いていた。

 

スパゲッティーは細めのアルデンテ。

噛めば噛むほどに塩味がにじみ出し、小さななすにしみ込んだトマトソースが、無駄な主張をしない。

最後に胡椒が鼻に抜けていくまでの間、静かに混ざる。

シェフの人柄を感じさせる、スパイスのきいた優しい味だ。

 

ペペロンチーノのコーヒー

▲ シチリア産のデミタスカップに入った食後のコーヒー

 

コーヒーは、イタリア・シシリアから持って帰ってきたというデミタスカップに入ってくる。

南の島の陽光に注がれているような明るさがある。

一口大のチョコラが口溶けよく舌の上に広がると、コーヒーの香ばしさとあって、食事の終わりを告げてくれた。

 

 

価格は手長海老が1,200円その他は900円

サラダとスープ、コーヒーとショコラ付き。日曜日もランチがある。嬉しい限りだ。

 

 

夜は本格的なイタリアンを食べさせてくれる。

生ハムとオリーブやパルメジャーノ。ステーキや鴨まである。

ワインもイタリアンから、正統派フレンチワインまでそろえる強者だが、価格はリーズナブルだ。

 

 

長く荻窪を見てきたイタリアン「ペペロンチーノ」

イタ飯ブームは終わり、バブルがはじけて多くの店が消えても、真面目なご夫婦が営むこの店は、堂々と荻窪に居座り続けてくれた。

ゆったりとした気持ちで、会話を楽しみながら食べたいレストランである。

 

【この記事を書いたのは】
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