荻窪新聞 2013年6月13日
荻窪新聞

荻窪の歴史は樹と共にある

荻窪に生息する「樹」にまつわるドラマと歴史
 
1923年の大震災を機に次々と人が移り住み、今では住宅街となった荻窪。かつての水田や野原のなごりは今ではほとんど残されていない。そんな荻窪で亭亭たる大樹と出会った。
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「坂の上のけやき公園」には、あの名作に出てくる大木のモデルとなった樹がある

その名作こそまさに、スタジオジブリ制作の名作アニメ「となりのトトロ」である。そんな公園のシンボルとなった大きな「けやきの木」だったが、かつて土地所有権の相続に伴い、伐採の危機に瀕したこともあった。
 
『トトロの樹』の愛称で親しみのあるこの大木との別れを惜しんだ地元の方々の著名運動により、8000名を超える著名が集まったことで無事、けやきの木は残された。そして2008年9月に遊具もトイレもないが『トトロの樹』だけが立つ、けやき公園が開園した。
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けやきの大木が上荻の住宅地の中から突然顔を出す様はまるで物語の様。

「みんなの想い」と題された公園入口の石版には、その経緯が書かれている。 木の側にあるベンチに腰掛け、木を見上げるだけで退屈しない公園だ。
 
『トトロの樹』が力強く根を張る姿は雄大かつ荘厳で命の力を感じる。すっかり大樹フリークになってしまった私は「もっと感動を!」と欲張り、荻窪近辺で他の大樹を探し始めた。
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他にもあった荻窪近辺の「樹」高井戸のケヤキ並木と荻窪八幡神社

旧横倉邸の欅高井戸東三丁目、人見街道沿いにケヤキ並木がある。かつては農家の屋敷林だった通りで、大木が鬱蒼と影を落とすケヤキ並木が続いていた。
 
今現在、その木々は東京都の天然記念物に指定されている。
高井戸のいにしえを偲ぶケヤキ並木は、数は減りながらも高井戸の住宅街にひっそりと残っている。
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上荻には多くの大樹が自生している。青梅街道から一本入るだけで、その緑の多さに驚く。
 
特に荻窪八幡神社は、長い歴史を境内の木々と共に歩んできた。
こちらでは1477年、武将「太田道灌」が源頼義の故事にならい、石神井城攻めの戦勝祈願とし植えた「槙の木」を御神木として保護している。
 
500年以上の歳月を経てきた御神木は「道灌槙(どうかんまき)」と呼ばれ今でも境内に残る。天を突くような幹を見上げ、木の生命力に感動する。
同じく荻窪八幡神社の境内にはイチョウの巨木も立つ。こちらは境内一の高さだ。紅葉の季節、もう一度訪れたい。
 
杉並区といえば、と「杉の大木」も探したが、杉は大気汚染に弱く、区内にはもはや大木は残っていなかった。
近所で自然に触れられる機会は日に日に減っているのだ。
「こんな風に木を見上げることは久しく無かった。」そう思わせてくれる大木を一度訪れてみてはいかがだろう。